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資料館(鋼材・材料) >> 2.JISに規定される非鉄金属の種類・特性・用語など

伸銅品用語
引用元 : JIS H 0500:1998 伸銅品用語


  • JIS H 0500 伸銅品用語 − Glossary of terms used in wrought copper and copper alloys

伸銅品の用語に関して、
JIS規格(日本工業規格)において、上記
のJIS規格から引用・抜粋した資料です。

ご利用に際しては、こちらのご注意もご
確認ください。

JIS規格関連ではこちらもご参考にどうぞ。
>> 資料館(公差)
>> 資料館(JISリスト)
>> 資料館(JIS用語)
>> 勉強部屋



伸銅品用語

1.適用規格

この規格は、伸銅品の種類、加工、熱処理、品質、性能、試験などに関連する用語とその定義について規定する。

備考1.伸銅品とは、圧延、押出し、引抜き、鍛造などの熱間又は冷間の塑性加工によって造られた 銅及び銅合金の板、条、管、棒、線などの製品の総称。


2.引用規格

次に揚げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版を適用する。
  • JIS H 2121 電気銅地金
  • JIS H 2501 りん銅地金
  • JIS H 2504 ベリリウム銅地金
  • JIS H 3100 銅及び銅の板及び条
  • JIS H 3140 銅ブスバー
  • JIS H 3401 銅及び銅合金の管継手
  • JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
  • JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験方法
  • JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
  • JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法
  • JIS Z 2246 ショア硬さ試験方法
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3.分類

伸銅品用語の分類は、次のとおりとする。
a) 伸銅品の種類
1) 合金別
2) 製造方法別
3) 製品形状別
4) 用途別
5) その他
b) 加工・熱処理
1) 溶解・鋳造
2) 熱間加工
3) 冷間加工
4) 仕上げ加工
5) 熱処理
6) 接合・その他
c) 品質・性能
1) 機械的特性
2) その他の特性
3) 寸法・形状
4) 表面品質
d) 試験
1) 機械的・物理的特性試験
2) その他の試験
e) その他
1) 金属一般
2) 腐食
3) 管継手
4) 非精製銅・精製銅
5) 鋳物
6) その他
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4.番号、用語及び定義

番号、用語及び定義は、次のとおりとする。なお、定義の後に参考として補足説明と欄外に対応英語を示す。

備考1.一つの用語欄に二つの用語が併記してある場合は、記載順に優先的に使用する。
備考2.用語の読み方が紛らわしいものは、用語の下に読み方( )を付けて示す。
備考3.伸銅品の種類の定義中に、JIS製品規格で規定している対応合金番号を参考のために( )の中に示す。
備考4.定義の中でこの規格に規定している用語が出てきた場合、その用語の後に( )を付けてその番号を参考のために示す。
備考5.規定している用語のJISがある場合、定義の後に( )でそのJIS番号を参考のために示す。

a) 伸銅品の種類

1) 合金別
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
1100 銅 99.90%以上の金属。
参考:
代表的なものに、無酸素銅(1101参照)、タフピッチ銅(1102参照)、りん脱酸銅(1103参照) などがある。
copper
1101 無酸素銅 酸化銅(I)[Cu2O](5105参照)や残留脱酸剤を含まない銅 99.96%以上の金属(C1011、C1020)。
参考:
電気・熱の伝導性に優れ、還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起こさない。
oxygen-free copper
1102 タフピッチ銅 酸化銅(I)[Cu2O](5105参照)の状態で酸素を0.02〜0.05%含む銅 99.90%以上の金属(C1100)。
参考:
電気・熱の伝導性に優れるが、還元性雰囲気中で高温加熱すると水素ぜい化を起こす場合がある。
tough pitch copper
1103 りん脱酸銅 りんによって脱酸(2120参照)され、酸化銅(I)[Cu2O](5105参照)を含まない銅 99.90%以上の金属(C1201〜C1221)。
参考:
残留りん量によって高りん脱酸銅と低りん脱酸銅とがある。前者は、水素ぜい化の心配はないが、導電性が低下する。後者は、導電性の低下は少ないが、条件によっては水素ぜい化のおそれもある。
phosphorous deoxidized copper
1110 すず入り銅 銅にすずを 0.05〜0.2%、りんを0.04%以下添加した高銅合金(1191参照)。
参考:
耐熱性が向上し、リードフレーム、ラジエータ用フィンなどに用いられる。
tin bearing copper
1111 銀入り銅 銅に銀を0.08〜0.25%添加した高銅合金(1191参照)。
参考:
耐熱性が向上し、JIS C 2801 (整流子片)などに用いられる。
silver bearing copper
1112 ジルコニウム銅 銅にジルコニウムを0.02〜0.2%添加した析出硬化形の高銅合金(1191参照)。
参考:
強度、導電性、耐熱性に優れ、リードフレームなどに用いられる。
copper-zirconium alloys
1113 クロム銅 銅にクロムを0.4〜1.2%添加した析出硬化形の高銅合金(1191参照)。
参考:
耐熱性、導電性に優れ、抵抗溶接用電極などに用いられる。
copper-chromium alloys
1114 テルル銅 銅にテルルを0.3〜2.0%添加した高銅合金(1191参照)。
参考:
被削性(3172参照)に優れ、放電加工用電極、トーチ火口(ひぐち)などの切削加工材に用いられる。
copper-tellurium alloys
1115 チタン銅 銅にチタンを1.0〜4.0%添加した析出硬化形の高銅合金(1191参照)。
参考:
冷間加工(2300参照)と時効硬化(2535参照)処理によってベリリウム銅(1116参照)に匹敵する強度が得られ、ばね材料などに用いられる。
copper-titanium alloys
1116 ベリリウム銅 銅にベリリウム0.4〜2.2%と少量のコバルト、ニッケル及び鉄を添加した析出硬化形の高銅合金(1191参照)。
参考:
冷間加工(2300参照)と時効硬化(2535参照)処理によって銅に匹敵する強度が得られ、ばね材料などに用いられる。
copper-beryllium alloys
1117 快削ベリリウム銅 銅にベリリウム0.4〜2.0%、鉛0.2〜1.2%に少量のコバルト、ニッケル及び鉄を添加した析出硬化形の高銅合金(1191参照)。
参考:
鉛を添加してベリリウム銅の被削性(3172参照)を改良したもので、通常、棒として供給されコネクタなどに用いられる。
free-cutting copper-beryllium alloys
1118 鉄入り銅 銅に鉄を0.1〜2.6%、りんを0.01〜0.3%添加した析出硬化形の高銅合金(1191参照)。
参考:
時効硬化(2535参照)処理によって強度、耐熱性及び導電性を高めることができ、リードフレームなどに用いられる。
copper-iron alloys
1119 含りん銅 りん脱酸銅(1103参照)のりん上限値(0.040%)以上のりんを添加した銅。
参考:
銅めっき(銅メッキ)のアノードとして用いられる。
high phosphorous copper
1130 丹銅 銅78.5〜96.0%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C2100〜C2400)。
参考:
淡紅色の色調を呈することによってこの名称がある。建材、装身具などに用いられる。
red brass
1131 黄銅 銅を主成分(59.0〜71.5%)とする亜鉛との合金(5100参照)(C2600〜C2801)。
参考1.
ただし、亜鉛以外の元素の添加がある場合は、次のすべてを満たすこと。
a)亜鉛の量が他の各元素より大
b)ニッケル含有量は5%以下
c)すず含有量wh3.5%以下
参考2.
銅と亜鉛の割合によって 60/40黄銅、65/35黄銅、70/30黄銅と呼ばれる場合もある。
copper-zinc alloys ;
brass
1132 快削黄銅 銅 56.0〜63.0%、鉛 1.8〜4.5%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C3560〜C3713)。
参考:
鉛を添加して黄銅(1131参照)の被削性(3172参照)を改良したもので、銅合金中で最高の被削性をもち、切削加工によってねじ、歯車などに仕上げられ、機械部品などに用いられる。
free-cutting brass
1133 鍛造用黄銅 銅 57.0〜62.0%、鉛 0.25〜2.5%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C3712〜C3771)。
参考:
被削性(3172参照)を害することなく、熱間鍛造性(2240参照)を付与したものである。バルブ、機械部品などに用いられる。
brass for forging ;
forging brass
1134 高力黄銅 銅 55.0〜60.5%の黄銅(1131参照)にアルミニウム2.0%以下、マンガン3.0%以下、鉄1.5%以下を添加した合金(5100参照)(C6782、C6783)。
参考:
黄銅に高強度をもたせたもので、船舶用プロペラ軸、ポンプ軸などに用いられる。
high strength brass
1135 すず入り黄銅 銅 80.0〜95.0%、すず 1.5〜3.5%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)。
参考:
強度、ばね性に優れ、コネクタなどに用いられる。
tin bearing brass
1136 アドミラルティ黄銅 銅 70.0〜73.0%、すず 0.9〜1.2%、ひ素0.02〜0.06%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C4430)。
参考:
主に淡水を冷却水とする熱交換器管として用いられる。英国で開発され、軍艦の復水器管として用いられたので、この名がある。
admiralty brass
1137 ネーバル黄銅 銅 59.0〜64.0%、すず 0.50〜1.5%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C4621〜C4641)。
参考:
強度と耐海水性に優れている。管板(1305参照)、その他海洋構造材として用いられる。
naval brass
1138 アルミニウム黄銅 銅 76.0〜79.0%、アルミニウム 1.8〜2.5%、ひ素0.02〜0.06%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C6870)。
参考:
耐海水性に優れ、熱交換器及び復水器用伝熱管に用いられる。けい素、ニッケルなどを少量添加したものもある(C6871、C6872)。
aluminium brass
1150 青銅 銅を主成分とする すずとの合金(5100参照)。 copper-tin alloys ;
bronze
1151 りん青銅 銅を主成分として、すず3.5〜9.0%、りん0.03〜0.35% を含む合金(5100参照)(C5102、C5111、C5191、C5210、C5212)。
参考:
ばね性に優れ、電気機器用ばね材などに用いられる。すず 1.0〜3.5%の低すずリン青銅もある。
phosphor bronze
1152 快削りん青銅 銅を主成分として、すず3.5〜5.8%、りん0.01〜0.50% 、鉛0.8〜4.5%、亜鉛4.5%以下を含む合金(5100参照)(C5341、C5441)。
参考:
鉛を添加してリン青銅(1151参照)の被削性(3172参照)を改良した合金で、コネクタなどに用いられる。
free-cutting phosphor bronze
1153 アルミニウム青銅 銅 77.0〜92.5%、アルミニウム 6.0〜12.0%、鉄1.5〜6.0%、ニッケル7.0%以下、マンガン2.0%以下からなる合金(5100参照)(C6140〜C6301)。
参考:
強度、耐食性、耐摩耗性に優れ、車両機械、船舶用部品などに用いられる。
copper-alminium alloys ;
aluminium bornze
1170 白銅 銅を主成分として、ニッケル9.0〜33.0%、鉄0.40〜2.3% 、マンガン0.20〜2.5%、亜鉛1.0%以下を含む合金(5100参照)(C7060〜C7164)。
参考:
耐海水性と高温強度に優れ、熱交換器用伝熱管として用いられる。銅 74.0〜76.0%、ニッケル 24.0〜26.0%の貨幣用の合金もある。
copper-nickel alloys ;
cupronickel
1180 洋白 銅 54.0〜75.0%、ニッケル5.0%以上、マンガン0〜0.50%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C7351〜C7701)。
参考:
銀白色を呈し、対疲労性、耐食性に優れ、水晶振動子キャップ、洋食器などに用いられる。
copper-nickel-zinc alloys ;
nickel silver
1181 快削洋白 銅 60.0〜64.0%、ニッケル16.5〜19.5%以上、鉛0.8〜1.8%、マンガン0〜0.50%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C7941)。
参考:
洋白(1180参照)に鉛を添加して被削性(3172参照)を改良した合金で、ねじ、かぎなどに用いられる。
free-cutting nickel silver
1190 銅合金 銅を主成分とし、それに合金元素(5101参照)を添加した合金(5100参照)(C7941)。 copper alloys
1191 高銅合金 銅を主成分とし、それに合金元素(5101参照)を添加し、銅96.0%以上で他の合金系に属さないもの(1110〜1118参照)。 high copper alloys
1192 合金番号 材料の種類を表す番号。
参考:
伸銅品(1201参照)の材質記号は、Cと4けたの数字で表す。
1位 2位 3位 4位 5位
C × × × ×
第1位 ⇒ 銅及び銅合金を表す C
第2位 ⇒ 主要添加元素による合金の系統を表す
1: Cu・高Cu系合金
2: Cu-Zn系合金
3: Cu-Zn-Pb系合金
4: Cu-Zn-Sn系合金
5: Cu-Sn系合金・Cu-Sn-Pb系合金
6: Cu-Al系合金・Cu-Si系合金・特殊Cu-Zn系合金
7: Cu-Ni系合金・Cu-Ni-Zn系合金
第3位〜5位 ⇒ 合金系統内における各合金の区別を示す(原則として銅分の多い順)
alloy number
1193 形状記号 英語名の頭文字をとって、板、条、管、棒、線などの形状別の種類を示した記号。
P:条(Plate)、 T:管(Tube)、 W:線(Wire)、 R:条(Ribbon)、 B:棒(Bar)
shape designation
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2) 製造方法別
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
1200 展伸材 圧延(2201及び2301参照)、押出し(2220参照)、引抜き(2320参照)、鍛造(2240及び2340参照) などの熱間又は冷間の塑性加工によって造られた板、条、管、棒、線などの製品の総称。 wrought products
1201 伸銅品 圧延(2201及び2301参照)、押出し(2220参照)、引抜き(2320参照)、鍛造(2240及び2340参照) などの熱間又は冷間の塑性加工によって造られた銅及び銅合金の板、条、管、棒、線などの製品の総称。 wrought copper and copper alloy products
1202 ミルハードン材 適当な冷間加工(2300参照)と時効硬化(2535参照)処理を施し、規定された機械的性質を付与した材料。
参考: ベリリウム銅(1116参照)に適用される。
mill-hardend materials
1220 押出棒 押出し(2220参照)によって最終寸法に仕上げられた棒。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、合金番号(1192参照)の後に[B(Bar)E(Extruded)]の記号を付ける。
Extruded rod/bar
1221 引抜棒 引抜き(2320参照)によって最終寸法に仕上げられた棒。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、合金番号(1192参照)の後に[B(Bar)D(Drawing)]の記号を付ける。
drawn rod/bar
1222 鍛造棒 鍛造によって最終寸法に仕上げられた棒。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、合金番号(1192参照)の後に[B(Bar)F(Forging)]の記号を付ける。
forged rod/bar
1240 継目無管 鋳塊(2160参照)から押出し(2220参照)、圧伸、引抜き(2320参照)などの加工によって製造された継目のない管。
参考: 溶接管(1241参照)と区別した名称。
seamless tube
1241 溶接管 板又は条を管状に成形し、管軸方向に溶接して製造された管。
参考:
伸銅品(1201参照)では、主に高周波誘導加熱による溶接法が用いられる。伸銅品のJISでは、合金番号(1192参照)の後に[T(Tube)W(Welded)]の記号を付ける。
welded tube
1260 鍛造品 工具、金型などを用いて材料の一部又は全部を圧縮したりつち(鎚)打ちしたりして、鍛錬され成形された展伸材(1200参照)。
参考:
鍛造は素材の加熱温度に従って熱間(2240参照)、温間、冷間(2340参照)に分けられる。
forging
1261 熱処理形合金 時効硬化熱処理によって強度を高めることが可能な合金。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、ベリリウム銅(C1700、C1720)がある。
heat-treatable alloys
1262 非熱処理形合金 時効硬化熱処理によって強度を高めることが本質的に不可能な合金で、冷間加工(2300参照)だけで強度を高める合金。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、ベリリウム銅(C1700、C1720)以外のものが該当する。
non-heat-treatable alloys
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3) 製品形状別
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
1300 板(1 0.1mm以上の均一な肉厚で、長方形断面をもち、シャー又はのこ(鋸)切断された平板で供給される圧延製品。 sheet ;
plate
1301 条(1 0.1mm以上の均一な肉厚で、長方形断面をもち、スリットされたコイル形状で供給される圧延製品。 strip ;
ribbon
1302 はく(箔)(1 0.1mm未満の均一な肉厚で、長方形断面をもち、スリットされたコイル形状で供給される圧延製品。 foil
1303 円板 丸形のブランク(1307参照)。 circles
1304 円形(えんぎょう) 圧延された板を丸形に打ち抜いた貨幣用の素材。 coin blanks
1305
管板 熱交換器などで多数の管を溶接又はエキスパンダーなどで取り付ける板。 tube plate
1306 異形条 幅方向に厚みの段差をもつ条。
参考: 形状の例を次に示す。
異形条の断面形状例
contour strip ;
multi gage strip
1307 ブランク 曲げ、打抜き、深絞りなどの加工のために平板から採取された各種形状の金属片。 blanks
1320 全長にわたって均一な断面をもち、真っすぐな状態で供給される中実の展伸材(1200参照)で、断面形状が、丸形、正六角形、正方形及び長方形のもの。 rod/bar
1321 異形棒 全長にわたって均一な断面をもち、真っすぐな状態で供給される中実の展伸材(1200参照)で、断面形状が、丸形、正六角形、正方形及び長方形以外の棒。 deformed rod/bar
1322 全長にわたって均一な断面をもち、コイル形状で供給される中実の展伸材(1200参照)で、断面形状が、丸形、正六角形、正方形及び長方形のもの。 wire
1323 異形線 全長にわたって均一な断面をもち、コイル形状で供給される中実の展伸材(1200参照)で、断面形状が、丸形、正六角形、正方形及び長方形以外の線。 deformed wire
1324 平角線 引抜き(2320参照)又は圧延によって、断面が長方形に仕上られた線(1322参照)の一種。
参考:
コイル形状で供給され、主に大形モーターのローターコイル、ステーターコイルに用いられる。
flat wire
1325 荒引線 全長にわたって均一な断面をもち、コイル形状で供給される中実の中間展伸材で、断面形状が、おおよそ丸形、三角形、多角形の径6mm以上の線。 drawing stock ;
wire rod
1340 全長にわたって均一な断面形状と肉厚をもち、真っすぐな状態又はコイル形状で供給される中空の展伸材(1200参照)。 tube ;
pipe
1341 異形管 全長にわたって均一な断面形状と肉厚をもち、真っすぐな状態又はコイル形状で供給される中空の展伸材(1200参照)で、断面形状が、丸形以外の管。 deformed tube
1342 角管 正方形又は長方形の断面形状をもつ異形管(1341参照)の一種。 rectangular or square tube
1343 へん平管 へん平の断面形状をもつ異形管(1341参照)の一種。
参考: 熱交換器などに用いられる。
flattened tube
1344 フィンチューブ 有効表面積を増大して伝熱性能を高めるために、内面・外面又は両面に各種フィンを立てた管。 finned tube
1345 Uベンド管 真っすぐな管をU字形に曲げた管。
参考: 熱交換器に用いられる。
U-bend tube
1346 内面溝付管 管内面に管軸方向に対し、あるねじれ角をもった多数のらせん溝を設け、伝熱性能を高めた管。
参考: 主として、空調機器の熱交換器に用いられる。
inner helically groved tube
1347 キャピラリーチューブ 空調機器、冷蔵庫の冷媒配管などに用いられる極細管。 capillary tube
1348 コルゲートチューブ 管軸方向に対し、あるねじれ角をもった圧入条こん(痕)を付け、よったロープのように成形加工された管。
参考:
乱流効果による伝熱性能の向上が得られ、熱交換器などに用いられる。
corrugated tube
1349 フレキシブルチューブ 配管系統における管の軸方向の伸縮、横方向の変位、曲げ変位などに適応してたわみが可能な管。 flexible tube
1350 二重管 冷間引抜き又は水圧拡管などによって、異種の金属管を機械的に接合させた管。
参考:
管内外の腐食環境が単一管では対応できない場合などに利用される。
duplex tube
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注(1) 伸銅品では他のものと定義がことなることがあるので注意する。

4) 用途別
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
1400 電子管用無酸素銅 電子管用として、特別に不純物量を規制した高純度銅(C1011)。
参考:
高い導電性、良好なガラス封着生、高い真空保持性などの特長がある。
oxygen-free copper for electron devices
1401 印刷用銅 クラビア版及び写真凸版用に用いられる銅(C1100、C1221、C1401)。
参考:
グラビア版用は、タフピッチ銅(1102参照)、りん脱酸銅(1103参照)などの純銅系で、写真凸版用は、耐熱性を高めるために、少量のニッケルを添加したものが用いられる。特に平面が平滑で高い表面強度が得られるに仕上られて、板として用いられる。
copper for printing
1402 ばね用ベリリウム銅 ばね用材料として、特に時効硬化(2535参照)処理条件及びばね限界値(3170参照)が規定されるベリリウム銅(1116参照)(C1700、C1720)。
参考:
板及び条として、コネクタ、スイッチ、リレー、接点などに用いられる。
copper-beryllium alloy for spring
1403 ばね用りん青銅 バネ用材料として、バネ限界値(3170参照)が規定されている すず7.0〜9.0%を含む リン青銅(1151参照)(C5210)。
参考:
板及び条として、コネクタ、スイッチ、リレー、接点などに用いられる。
phosphor bronze for spring
1404 ばね用洋白 ばね用材料として、ばね限界値(3170参照)が規定されている銅 54.0〜58.0%、ニッケル 16.5〜19.5%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C7701)。
参考: 板及び条として、コネクタ、スイッチ、リレー、接点などに用いられる。
nickel silver for spring
1405 雷管用銅 雷管用として用いられ、銅 98.0〜99.0%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C2051)。
参考: 絞り加工性に優れている。
copper for detonators
1406 楽器弁用黄銅 楽器弁用として、黄銅(1131参照)に少量の鉛、マンガン及びすずを添加し、打抜性と耐疲労性とを高めた特殊黄銅(C6711、C6712)。
参考: 板として、ハーモニカ、オルガン、アコーディオンの弁などに用いられる。
brass for music lead
1420 銅ブスバー 無酸素銅(1101参照)又はタフピッチ銅(1102参照)の長方形の中実断面をもつ導電体(JIS H 3140)。 copper bus bar
1421 ニップル用黄銅 自転車のニップル用として用いられ、銅 60.0〜64.0%、鉛 0.7〜1.7%、残り亜鉛からなる合金(5100参照)(C3501)。 brass for nipples
1422 ヘッダー線 リベットなどのヘッダー加工に用いられる線。
参考: 主として、冷間鍛造性に優れた黄銅(1131参照)などが用いられる。
wire for headers
1423 ワイヤカット線 ワイヤ放電加工用電極として用いられる線。
参考: 線材としては、一般に直径0.2mm程度の黄銅(1131参照)が用いられる。
electrode wire for electric discharge machine
1440 配管用銅管 医療、給排水、給湯、冷暖房、都市ガス、消火用スプリンクラなどの配管に用いられる銅管。
参考: 基準外径(3302参照)及び肉厚が JIS H 3300 に規定されている。
copper tube for plumbing
1441 復水器用黄銅 発電所などの復水器管として用いられる黄銅(C4430、C6870、C6871、C6872)。
参考:
アルミニウム黄銅(1138参照)とアドミラルティ黄銅(1136参照)とがある。耐食性に優れ、上記用途のほかに給水加熱器、蒸留器、油冷却器、造水装置などの伝熱管として用いられる。
brass for condensers
1442 復水器用白銅 発電所などの復水器管として用いられる白銅(C7060〜C7164)。
参考:
耐食性及び高温強度に優れ、上記用途のほかに給水加熱器、化学工業用熱交換器、造水装置などの伝熱管及び管板(1305参照)として用いられる。
cupronickel for condensers
1443
ブルドン管 ブルドンゲージなどの圧力駆動型計器に用いられる だ(楕)円形断面をもった薄肉扁平管(1343参照)。
参考:
バネ性と耐疲労性が要求されるので、通常、黄銅(1131参照)系、リン青銅(1151参照)系材料が用いられる。
bourdon gage tube
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5) その他
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
1500 トラバース巻条、
ボビン巻条
所定の外径をもったドラムにらせん状に巻かれた条。 traverse wound strip ;
bobbin wound strip
1501 バンチコイル 管を円筒状に多層巻きしたもの。参考: 巻き方を次に示す。
バンチコイル
bunch coil
1502 パンケーキコイル(1 管を渦巻き状に単層又は多層に巻いたもの。
参考:
幅狭の条をコイル巻きしたものをパンケーキコイルという場合がある。巻き方を次に示す。
パンケーキコイル
pancake coil
1503 レベルワウンドコイル 管を円筒状に整列多層巻きしたもの。
参考:
主として、空調機器、冷蔵庫などの配管用材料に用いられる巻き方。巻き方を次に示す。
レベルワウンドコイル
level wound coil
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b) 加工・熱処理

1) 溶解・鋳造
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
2100 地金 展伸材(1200参照)及び鍛造品(1260参照)の製造に用いるために、精錬又は溶解・鋳造によって所定の形状に造られた原料製品の総称。 unwrought products
2101 電気銅地金 電気分解によって精製(陰極析出)された粗い表面をもった純度99.96%以上の銅の板状原料製品(JIS H 2121)。 cathode copper
2102 りん銅地金 銅及び銅合金の展伸材(1200参照)や鋳物(5500参照)の脱酸剤、りん添加剤などに用いる銅とりんの合金地金(JIS H 2501)。
参考: 通常、りn含有量が15%と10%のものがある。
phosphor copper metal
2103 ベリリウム銅地金 銅とベリリウムからなる合金地金(JIS H 2504)。
参考:
通常、ベリリウム含有率が 4.0%と3.5%のものがある。ベリリウム母合金ともいう。
copper beryllium master alloys
2104 母合金 合金組成の調整のために、溶湯に添加することだけを目的として造られた合金(5100参照)。 master alloys ;
mother alloys
2120 脱酸 金属又は合金(5100参照)の溶湯中の酸素を除去する処理。
参考: りん、マンガンなどが脱酸剤として用いられる。
deoxidizing
2160 鋳塊(1 圧延(2201及び2301参照)、押出し(2220参照)などの工程に供給するために造られた、断面が長方形又は円形の鋳造のままの加工用素材。
参考:
断面が長方形のものは、ケーク(2162参照)と呼び、断面が円形のものはビレット(2163参照)と呼ぶ。
ingots
2161 形銅
(かたどう)
銅(1100参照)の展伸材(1200参照)の加工に適した形状に鋳造された加工用素材。
参考: 形状によってビレット(2163参照)、ケーク(2162参照)に分けられる。
copper billets and cakes
2162 ケーク 鋳塊(2160参照)から所定の長さに切断された長方形断面をもつ加工用素材。
参考: 板、条などの製造に用いる。
cakes
2163 ビレット 鋳塊(2160参照)から所定の長さに切断された円形断面をもつ加工用素材。
参考: 管、棒、線などの製造に用いる。
billets
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2) 熱間加工
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
2200 熱間加工 ひずみ硬化を生じないような温度範囲で行う金属又は合金(5100参照)の塑性加工。 hot working
2201 熱間圧延 再結晶温度以上の延性が大きい温度範囲で、ロール間に材料を通して板厚を圧下減少させ、所定の形状にする塑性加工。
参考: 銅及び銅合金では、通常、650〜950℃の温度に加熱して圧延する。
hot rolling
2202 熱間圧延上り 熱間圧延(2201参照)だけによって仕上げられる製品。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、形状記号(1193参照)の後に質別(5603参照)を示す[F(Fabricated)]を付ける。銅及び銅合金では、通常、650〜950℃の温度に加熱して圧延する。
hot rolled finish
2220 押出し 加熱したビレット(2163参照)をコンテナの中にいれて圧力を加え、ダイスを通してて所定の形状にする加工。
参考: 銅及び銅合金では、通常、650〜950℃の温度に加熱して押出しする。
extrusion
2221 押出し上り 管、棒、線などにおいて、押出し(2220参照)だけによって仕上げられる製品。
参考:
伸銅品(1201参照)の棒のJIS(JIS H 3250)では、形状記号(1193参照)の後に製法を示す[E(Extrud-ed)]を付ける。銅及び銅合金では、通常、650〜950℃の温度に加熱して押出しする。
extruded finish
2240 熱間鍛造 鋳塊(2160参照)又は展伸材(1200参照)から切り出した加工片を熱間で繰り返しつち(鎚)打ちするか又は金型によって圧縮して成形する塑性加工。 hot forging
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3) 冷間加工
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
2300 冷間加工 ひずみ硬化が生じるような温度範囲で行う金属又は合金(5100参照)の塑性加工。 cold working
2301 冷間圧延 再結晶を生じない温度範囲で、ロール間に材料を通して板厚を圧下減少させ、所定の形状にする塑性加工。
参考:
通常、冷間加工は、粗圧延(2302参照)、中間圧延(2303参照)、仕上げ圧延(2304参照)の3工程がある。
cold rolling
2302 粗圧延(1 板、条製品の製造において、最初に行う冷間圧延(2301参照)。
参考: 中間圧延(2303参照)、仕上げ圧延(2304参照)に対比して用いる用語。
rough rolling
2303 中間圧延(1 粗圧延(2302参照)と仕上げ圧延(2304参照)の中間で行われる圧延。 intermediate rolling
2304 仕上げ圧延(1 所定の板厚及び質別(5603参照)を得るための最終圧延。 finish rolling
2305 スキンパス(1 板、条、管、線などの表面つや出し又はひずみ矯正(2400参照)のために行う軽度の圧延(磨きロール、無潤滑)又は引抜き加工。 skin pass
2306 調質圧延(1 板及び条で所定の質別(5603参照)及び表面につやを出すために行う軽度の圧延。 temper rolling
2307 ロール上り(1 所定の板厚、質別(5603参照)及び表面につやを出すため最終圧延によって仕上げられる製品。
参考: 冷間圧延(2301参照)上りともいう。
cold rolled finish
2308 加工率 冷間圧延(2301参照)、引抜き(2320参照)などの加工によって減少した断面積の原断面積に対する割合。
参考: 加工硬化(2309参照)、質別(5603参照)の目安となる。
reduction ratios
2309 加工硬化 冷間圧延(2301参照)、引抜き(2320参照)などの加工を冷間で行った場合、加工ひずみ(歪)の増大に伴って材料が硬化する現象。
参考: ひずみ硬化ともいう。
work hardening ;
strain hardening
2310 加工硬化曲線 縦軸に硬さ、引張強さ(3100参照)、伸び(3102参照)などの機械的性質を、横軸に冷間加工(2300参照)における加工率(2308参照)を取り、加工率の増加に伴って加工硬化(2309参照)によってこれらの性質が変化する状況を示した曲線。
参考: 例としてC2680R(黄銅条:厚さ0.7mm)の加工硬化曲線を次に示す。
加工硬化曲線
work hardening curves ;
strain hardening curves
2320 引抜き 管、棒及び線の製造において、ダイスを通して断面積を減少させ、所定の形状にする塑性加工。
参考: 管の場合は、通常、管内部にプラグを入れて加工する。
drawing
2321 空引き 管の引抜き(2320参照)加工において、仕上られた管を、更に管内にプラグを入れずに、ダイスだけで引抜く塑性加工。 sinking
2322 応力除去 低温焼鈍(2504参照)又は問題となるような寸法変化を生じない機械的な処理によって、製品の残留応力を低減させる加工。 stress relieving
2340 冷間鍛造 展伸材(1200参照)から切り出した加工片を常温で、繰り返しつち(鎚)打ちするか又は金型によって圧縮し成形する塑性加工。 cold forging
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4) 仕上げ加工
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
2400 矯正 管、棒及び線の曲がり(3337参照)又は板の平らさを調整する加工。 straightening ;
leveling
2401 テンション・レベリング 板及び条に張力を加え、変形を機械的に除去する方法。 tension leveling
2420 スリッティング 上下一対の回転丸刃工具によって、幅広条材を長手方向に切断する加工。 slitting
2421 面削仕上げ 所定の寸法及び表面状態を得るために機械切削によって仕上たもの。 machined finish
2440 スカルピング 回転切削機又はカッターヘッドを用いて材料の表面欠陥を除去する加工。 scalping ;
mealing
2441 化学研磨仕上げ 材料の光輝面を得るため、化学研磨で仕上られたもの。
参考:
伸銅品(1201参照)で用いられる代表的研磨浴例としては、キリンス浴(硝酸+硫酸+塩化水素+水)、過酸化水素浴(過酸化水素+水素+添加剤)がある。
chemical bright dip finish
2442 ストライプめっき 材料表面に、ある幅をもって長さ方向い帯状に施した部分めっき。
参考: 銅合金(1190参照)のリードフレームに用いられる。
stripe plating
2443 スポットめっき 材料の表面に点(スポット)状に施されためっき。 spot plating
2444 銅下地めっき
、銅下めっき
下地処理として施される銅めっき。
参考: 仕上メッキの前工程で、主として密着性を向上させるために行う。
copper strike
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5) 熱処理
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
2500 焼なまし、
焼鈍
(しょうどん)
冷間加工(2300参照)の結果生じたひずみ硬化を除去することによるか、固溶体からの析出を粗大化させることによるか、又は再結晶させることによって金属を軟化させる熱処理。 annealing
2501 中間焼なまし、
中間焼鈍
冷間加工(2300参照)で硬化した材料を軟化し、引き続いて行う冷間加工を容易にする目的で、再結晶温度以上で行う焼なまし(2500参照)。 process annealing
2502 仕上げ焼なまし、
仕上げ焼鈍
所要の性質を得るために、製造の最終段階で行う焼なまし(2500参照)。 final annealing
2503 応力除去焼なまし、
応力除去焼鈍
一般に再結晶温度以下の適温に加熱して、鋳造、加工、溶接などによって材料に生じた残留応力を低減させる焼なまし(2500参照)。 stress relief annealing
2504 低温焼なまし、
低温焼鈍
内部ひずみ(歪)を除去するため又は機械的性質を改善するために行う再結晶温度以下での熱処理。 low temperature annealing
2505 バッチ焼なまし、
バッチ焼鈍
一定量の材料を静置した状態で行う焼なまし(2500参照)。 batch annealing
2506 連続焼なまし、
連続焼鈍
材料を炉中で連続的に動かしながら行う焼なまし(2500参照)。 continuous annealing
2507 テンション・アニーリング 条又は線に張力を加えながら行う低温熱処理。
参考:
加工による残留応力及びひずみの除去とばね性などの機械的性質を改善する目的で行う。
tension annealing
2508 光輝焼なまし、
光輝焼鈍
表面の酸化を防止し、金属光沢を失わないように保護雰囲気中又は真空中で行う熱処理。 bright annealing
2509 雰囲気焼なまし、
雰囲気焼鈍
調節された雰囲気ガス中で行う熱処理。
参考:
雰囲気ガスの組成は、目的に応じて、還元性、不活性などに調整される。ほかに[真空焼なまし(真空焼鈍)]がある。
controlled atmosphere annealing
2510 不完全焼なまし、
不完全焼鈍
冷間加工(2300参照)した材料の強度的性質を所定水準に下げるために行う焼なまし(2500参照)。 partial annealing
2511 肌荒れ 焼なまし温度が高く結晶粒が粗大化した材料で、曲げ、絞りなどの加工を施した場合に生じるオレンジの皮に類似した表面の荒れ。 orange peel surfaces
2512 焼なまし軟化曲線、
焼鈍軟化曲線
加工硬化(2309参照)した材料を、種々の温度で一定時間熱処理したときの軟化の状況を、熱処理温度と常温での機械的性質との関係で示した曲線。
参考:
例として C1220P(りん脱酸銅板)の焼なまし軟化曲線(30分保持後、空冷)を次に示す。
焼なまし軟化曲線(焼鈍軟化曲線)
softening curves
2530 溶体化処理 熱処理合金を固溶限温度以上の適温に加熱し、合金成分を十分に固溶させた後、急冷させて過飽和固溶状態にする熱処理。 solution heat treatment
2531 自然時効 室温に放置することによって自然に過飽和固溶体から微細な二次相を析出させる熱処理。 natural ageing
2532 人工時効、
析出熱処理
室温以上で加熱することによって過飽和固溶体から微細な二次相を析出させる熱処理。 artificial ageing ;
precipitation heat treatment
2533 溶体化処理兼人工時効、
完全熱処理
溶体化処理(2530参照)に続く析出熱処理(人工時効)(2532参照)。 solution treated and artificially aged ;
full heat treatment
2534 焼入れ 合金成分の一部又は全部を固溶させるために、高温から十分な速さで被処理材を冷媒(固溶、液体又は気体)と接触させて冷却させる熱処理。 quenching
2535 時効硬化 所定の温度に保持することによって過飽和固溶体から微細な二次相が析出するために生じる硬化。
参考: 時効硬化型合金としては、ベリリウム銅(1116参照)などがある。
age hardening ;
precipitation hardening
2536 析出硬化 過飽和固溶体から金属間化合物などの異相が析出することによって起こる硬化。 precipitation hardening
2550
ソーキング 拡散によって化学成分の偏析を除去ないし減少させるために、金属又は合金(5100参照)を高温で十分な時間加熱する熱処理。
参考: 一般に、鋳塊(2160参照)に対して行う。
soaking ;
homogenizing
2551 連続焼なまし酸洗、
連続焼鈍酸洗
条又は線のコイルを巻き戻しながら連続的に焼なまし(2500参照)と酸洗とを行い、巻き取って仕上げる処理。
参考: 通常、この一連の設備をAPライン又はCAPともいう。
continuous annealing and pickling
2552 双昌 一つの結晶粒の中で、結晶格子の構造は同じであるが、ある一定の面(双昌面という。)を境界にして、互いに鏡面対称となっているような結晶。
参考: 伸銅品(1201参照)の双昌の例を次に示す。
伸銅品の双昌の例
twins
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6) 接合・その他
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
2600 ロールフォーミング 直列に配置した多数組の成形ロールによって、条材から長尺の同一断面形状製品に成形する加工。
参考: 屋根材、とい(樋)などの加工に用いられる。
roll forming
2620 はんだ付 450℃未満の低融点のはんだ(軟ろうともいう。)を用いて、母材金属を接合する方法。
参考: 代表的なはんだには、すずと鉛の合金(JIS Z 3282)がある。
soldering
2621 ろう付 450℃以上で、母材の融点より低い融点のろう材を用いて母材金属を接合する方法。
参考: 代表的なろう材には、銀ろう(JIS Z 3261)、りん銅ろう(JIS Z 3264)がある。
brazing
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c) 品質・性能

1) 機械的性質
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
3100 引張強さ 引張試験において、最大荷重を試験片の平行部の原断面積で除した値(JIS Z 2241)。 tensile strength
3101 耐力 引張試験において、規定された永久伸びを生じるときの荷重を試験片の平行部の原断面席で除した値(JIS Z 2241)。
参考:
降伏点が明りょう(瞭)でない伸銅品(1201参照)では、降伏応力の代わりに耐力が用いられる。なお、伸銅品では、通常、オフセット法が用いられ、この場合、特に規定のない場合には、永久伸びの値を0.2%とする。
yield strength ;
proof stress
3102 伸び 引張試験にいおて、試験片が破断したとき、その標点間の長さLと元の標点距離L0との差。
参考1.
JISでは、この差を標点距離に対する百分率で表す。
破断伸び(δ)={(L-L0)/L0}×100(%)
参考2.
全伸びと破断伸びとがあり、伸銅品(1201参照)では破断伸びを用いる。
elongation (after fracture)
3103 断面絞り 引張試験において、くびれ破断した箇所の断面積の原断面積に対する比率。
参考:
延性を評価するのに用い、単に絞りともいう。
{(原断面積 − くびれた部分の断面積)/原断面積}×100(%)
で表す。
reduction of area (after fracture)
3130 ビッカース硬さ 対面角が136度のダイヤモンド四角すい圧子を用い、試験面にくぼみを付けたとき、用いた試験荷重を永久くぼみの対角線長さから求めた永久くぼみの表面積(mm2)で除した値(JIS Z 2244)。
参考1.硬さ記号は、HV を用いる。
参考2.伸銅品(1201参照)では、主としてビッカース硬さを用いる(JIS Z 3300 を除く)。
vickers hardness
3131 ロックウェル硬さ ダイヤモンド圧子又は鋼球圧子を用いて、まず初荷重を加え、次に試験荷重を加え、再び初荷重に戻したとき、前後2回の初荷重における圧子侵入深さの差 h から硬さ(HR)の定義式 HR=a-bh で算出される値。
ここに、a及びbは、ロックウェル固さのスケールごとに定められた固有の値である(JIS Z 2245)。
参考1.
JISでは、初荷重 98.07N のときロックウェル硬さ、29.42N のときロックウェルスーパーフィシャル硬さという。
参考2.
伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3300 でスーパーフィシャル硬さが適用されている。
rockwell hardness
3132 ブリネル硬さ 鋼球圧子又は超硬合金圧子を用い、試験面にくぼみを付けたとき、用いた試験荷重を球状の永久くぼみの表面積(mm2)で除した値(JIS Z 2243)。
参考1.
鋼球圧子を用いたときには、硬さ記号 HBS を、また超硬合金球圧子のときには、HBW を用いる。
参考2.
伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3250 のアルミニウム青銅(1153参照)に適用されている。
brinell hardness
3133 ショア硬さ 試料の試験面上に一定の高さ(h0)から落下させたハンマのはね上がり高さ(h)で、次の式で算出される値(JIS Z 2246)。
HS=k(h/h0)
参考1.kは、ショア硬さ基準片で決まる係数である。JIS Z 2246 では、ショア硬さの基準片の基準硬さは、ビッカース硬さを基準に一定の換算式で求められている。
参考2.伸銅品(1201参照)では、簡便法として受入検査などで用いられる場合がある。
shore hardness
3170 ばね限界値 材料に曲げる力を与えたとき、所定の永久たわみ(例えば 0.075mm又は0.1mm)を生じたときの表面最大応力値。
参考:
伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3130 に、繰返したわみ試験とモーメント式試験の2通りの試験方法が規定されている。
spring bending elastic limit
3171 表面最大応力値 永久たわみを生じない最大応力を与えたとき、材料の最外表層に生じる応力値。
参考: 伸銅品(1201参照)では、ばね性の強度的評価を見るのに用いられる。
maximum outer fibre bending stress
3172 被削性 切削加工の難易さ。
参考:
切削加工の難易さは、定量的に表現し難いので標準材料として C3600 の被削性を100として比較している。
machinability
3173 異方性 板及び条の機械的性質が面上の方向によって違う性質。
参考: 異方性がある板及び条を深絞り加工すると口縁部に幾つかの耳状突起ができる。
anisotropy
3174 応力緩和 材料に一定のひずみを加えて放置したとき、初期応力が時間とともに減少してくる現象。
参考: 減少した応力を緩和応力といい、これに対応するひずみを塑性ひずみという。
stress relaxation
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2) その他の特性
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
3200 導電率 単位長さ、単位断面積をもつ材料の電気伝導度と標準軟銅(5600参照)のそれとの比。
参考:
導電率の算出は、20℃における標準軟銅の体積抵抗率(1.724 1μΩm×10-2)(3201参照)を測定する材料の体積抵抗率で除し、百分率で表す。
electrical conductivity
3201 体積抵抗率 単位長さ、単位断面積をもつ材料の電気抵抗値。
参考: 単位は、[μΩm]で表す。
electrical resistivity
3202 熱伝導性 ふく(輻)射や対流によらないで、熱が物質内を伝わる性質。
参考:
熱の伝わりやすさを熱伝導率で表す。銅及び銅合金の熱伝導率と導電率の関係は、次に示すようにほぼ比例関係にある。
銅及び銅合金の熱伝導率と導電率の関係(比例関係)
thermal conductivity
3203 非磁性 磁界(又は磁場)と相互作用を及ぼさない性質。
参考: 伸銅品(1201参照)では、表層に弱い磁性を示す。
non magnetism
3220 水素ぜい性 酸素を含む銅が高温で水素を吸収し、もろくなる性質。
参考:
酸素を含む銅を、水素を含む還元気体中で400℃以上に加熱すると、銅中の酸化銅(5105参照)が還元されて水蒸気を生じ、この圧力で結晶粒界に細かいき裂が生じてもろくなる。
hydrogen embrittlement
3240 はんだぬれ性 金属表面で溶融したはんだ及びろうがはじけないで広がる性質。 solder wettability
3241 酸素膜のはく離性 金属表面に生成した酸化膜の素地との密着性の程度。
参考:
伸銅品(1201参照)では、電子管用無酸素銅の板、条、継目無管、棒及び線(JIS H 3510)にはく離試験(4204参照)が規定されている。
oxide film adhesiveness
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3) 寸法・形状
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
3300 寸法許容差 寸法において、規定された基準値と規定された限界値との差。
参考: JIS H 3300 の寸法許容差には等級として、普通級とより厳しい特殊級がある。
dimentional tolerance
3301 呼び径(1 配管用管材の外径を表すために用いられる呼び方。
参考:
JIS H 3300 に規定されている配管用銅管(1440参照)(C1020・C1220)の呼び径を、次に示す。
呼び径 基準外径
mm
(A) (B)
8 1/4 9.52
10 3/8 12.70
15 1/2 15.88
5/8 19.05
20 3/4 22.22
25 1 28.58
32 11/4 34.92
40 11/2 41.28
50 2 53.98
65 21/2 66.68
80 3 79.38
100 4 104.78
125 5 130.18
150 6 155.58
nominal diameter
3302 基準外径(1 配管用管材において、呼び径(3301参照)に対して決められた基準となる外径寸法。 standard outside diameter
3303 平均径 管又は丸棒の任意の断面において測った最大外径と最小外径との平均値。
参考: 管の場合は、最大内径と最小内径との平均値をいうこともある。
管の平均径
average diameter
3304 真円度 管の場合は、任意の断面において測った最大外径と最小外径との差の指定外径に対する割合。丸棒及び線の場合は、任意の断面において測った最大径と最小径との差。 circulality
3330 平板のひずみ 平板状製品の平らさの程度。
参考1.圧延方向に垂直に出る波打ちのこと。
参考2.JIS H 3100 に規定されているひずみの測定方法は、次のとおりである。
JIS H 3100 に規定されているひずみの測定方法
flatness
3331 板条の中高
(なかだか)
板及び条の中央部と耳部との厚さの差。
参考: 通常、ワークロールのたわみによって板の中央部が厚くなること。
sheet crowns
3332 端伸び 板及び条の幅端部が平たんでなく、凹凸が認められる状態の総称、又は度合い。
参考:
幅端部が繰り返し波打つのが特徴である。また、中央部が伸びることがあり、それを中伸び(center waves)という。
edge waves
3334 カール 条の長さ方向のそり。
参考: [巻きくせ]のこと。
curls
3335 ガッター、
クロスボウ
条の幅方向のわん曲で、幅端部のそり上がる状態の総称、又はそのときのそり度合い。
参考: [幅ぞり]ともいう。
gutters ;
cross bows
3336 エッジドロップ 幅方向の板厚において、両端付近に生じる急に薄くなった部分。 edge drops
3337 曲がり(1 条、管及び棒の真直度を表す量。
参考1.全長又は規定の長さに対する弧の深さをいい、[mm]単位で表す。
参考2.伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3260 以外の規格に適用されている。
参考3.条の長さ方向に対する幅方向の曲がり変位を条の曲がり(edgewise curvature)といい、一方向の曲がりと蛇行とがある。
bend ;
camber
3338 ツイスト 条のねじれ。 twists
3339 バリ スリット、せん断、打抜き、のこ(鋸)切断などの作業によって切断部に生じる薄い突起。
参考: [かえり] ともいう。
burr
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4) 表面品質
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
3400 矯正マーク 管、棒及び線のロール矯正などによって生じる表面のさせん状の模様。 spiral marks
3401 ダイスマーク ダイスに生じたきずが原因で、押出し(2220参照)又は引抜き(2320参照)の際、製品(管、棒及び線)の長手方向に発生した線模様及びきず。 die marks
3402 リングマーク 引抜工程で発生する竹の節状の凹凸。
参考: [ストップマーク]ともいう。
ring marks
3403 ロールマーク 研磨によって圧延ロールに生じた条こん(痕)が、圧延の際、製品の表面に転写されて発生した模様。 roll marks
3404 研磨目 ブラシ及び研磨剤などによって生じる表面の線模様。 polishing marks
3405 びびり 周期的な表面の凹凸。
参考: 冷間圧延(2301参照)、引抜き(2320参照)などによって生じる。
chattering marks
3406 表面粗さ 金属表面の微小な凹凸の程度。
参考:
代表的な表面粗さの表示には、基準面から最も深い谷底までの距離[Rν]として[μm]単位で表す。
surface roughness
3407 変色 材料表面が酸化、硫化などによって色が変化した状態。
備考: 表面品質に影響するので注意を要する。
discoloration
3408 オイルスティン 潤滑油の不完全な除去又は焼付きによって、製品表面に局部的に生成した褐色又は黒色の変色(3407参照)。 oil stains
3409 レッドスティン 黄銅系材料において、焼鈍(2500参照)中に亜鉛の蒸発又は酸洗中の銅の沈着によって生じる淡赤又は赤色の表面変色。 red stains
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d) 試験

1) 機械的・物理的特性試験
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
4100 繰返し曲げ試験 特定半径の円弧をもつ一対のつかみに固定し、他端をたわまないように引っ張りながら、円弧に沿って90度ずつ順逆方向に交互に繰返し曲げを行い、破断までの繰返し回数を調べる試験。
参考1.伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3510 に適用されている。
繰返し曲げ試験
参考2.この試験の1種類として、リードフレームのリード部を片側90度の繰返し曲げを行い、破断までの繰返し回数(往復を1回と数える。)を調べるリード・ファティグ・テスト(lead fatigue test)がある。
reverse bend test
4101 押広げ試験 管状試験片の一端を通常60度の角度をもつ円すい(錐)形の工具で、所定の大きさ(押広げ倍率)まで、ラッパ形に外径を押し広げて、表面に割れが生じたかどうかを調べる試験。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3300 に適用されている。
expansion test ;
flaring test
4102 へん平試験 一定の長さ(約100mm)の管状試験片を用い、2枚の平板間に挟んで直径方向に荷重を加え、平板の距離が規定の距離に達するまで圧縮し、へん平にして、管の表面に割れが生じたかどうかを調べる試験。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3300 に適用されている。
flattening test
4103 深絞り試験 材料から一定の円板(径約24.3mm)を打ち抜き、これをポンチ及びダイスを用いて平板付き円筒に絞り加工し、その際にできる耳の高さを測定値として、材料の深絞り加工性を判定する試験。
参考: 伸銅(1201参照)のJISでは、JIS H3100 の C2051Rにだけ適用されている。
深絞り試験 : 材料の深絞り加工性を判定する試験。
deep drawability test
4104 ばね限界値試験 厚さ0.2〜1.6mmの板ばね材料のバネ限界値(3170参照)を求める試験。
参考1.試験には繰返したわみ式試験とモーメント式試験とがある。伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3130 に適用されている。
参考2.ばね限界値は、測定される試料の自由端における永久たわみ変位量 0.1mm 又は 0.075mmに対応する固定端における表面最大応力値 kb0.1 又は kb0.075[N/mm2]で表す。
sring elastic limit test
4105 巻付け試験 線状試験片を直径の2倍の心金に3回以上巻き付け、破断やきずなどの発生状況を調べる試験。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3270 の一部に適用されている。
coiling test
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2) その他の試験
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
4200 時期割れ試験 材料に実用上有害となるような残留応力が存在しているかどうかを調べる試験。
参考:
アンモニア試験(4201参照)と水銀試験(4202参照)とがあるが、伸銅品(1201参照)のJISでは環境面を考慮し、JIS H 3250、JIS H 3300、JIS H 3320 にはアンモニア試験だけが適用されている。
season cracking test ;
stress corrosion test
4201 アンモニア試験 時期割れ試験(4200参照)の一つで、試験片をアンモニアガス中に一定時間(2時間)暴露し、割れの有無を調べて実用上有害となるような残留応力の有無を確認する試験。
参考1.試験装置例を示す。
アンモニア試験の試験装置例
参考2.伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3250、JIS H 3300、JIS H 3320 に適用されている。
ammonia test
4202 水銀試験 時期割れ試験(4200参照)の一つで、試験片を硝酸第1水銀溶液中に一定時間(15分間)浸せきし、割れの有無を調べて実用上有害となるような残留応力の有無を確認する試験。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、環境面を考慮して適用されていない。
mercurous nitrate test
4203 水素ぜい化試験 試験片を水素ガス気流中で、所定の温度(850±25℃)、時間(30分間)で加熱した後、顕微鏡による検査(75〜200倍)又は繰返し曲げ試験(4100参照)を行って水素ぜい性の程度を判定する試験。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、C1020、C1201 及び C1221 に適用されている。
hydrogen embrittlement test
4204 はく離試験 試験片を850℃の炉中に置き、30分間加熱酸化した後、水冷して酸化膜のはく離の有無を目視で調べる試験。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3510 に適用されている。
flaking test of oxide film
4205 脱亜鉛腐食試験 銅−亜鉛系合金の脱亜鉛腐食(5201参照)を起こしやすい条件において、その耐食性を評価するために行う腐食促進試験。
参考:
代表的試験法として、ISO 6509 (1%CuCl2温液中浸透法)と日本伸銅協会技術標準 JBMA-T303 (定電流アノード分極法)とがある。
dezincification test
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e) その他

1) 金属一般
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
5100 合金 母金属元素(量的に多い元素)と合金元素(5101参照)や不純物(5102参照)のような他の元素との混合物からなる金属物質。 alloy
5101 合金元素 ある特性を付与する目的で、母金属に添加され、又は包含される金属、又は非金属元素。 alloying element
5102 不純物 母金属又は合金(5100参照)に対し、意識的に添加されたものではない少量の金属又は非金属元素。 impurity
5103 展伸用合金 熱間及び/又は冷間の塑性変形による展伸材(1200参照)の製造を主に意図した合金(5100参照)。 wrought alloy
5104 鋳物用合金 鋳物の製造を主に意図した合金(5100参照)。 casting alloy
5105 酸化銅 銅(1100参照)及び高銅合金(1102参照)などを、酸化雰囲気中で加熱する際に、表面に生成する銅と酸素の化合物。
参考:
酸化銅(U)[CuO]、酸化銅(T)[Cu2O]の2種類があり、前者は最表層部に生成し、黒色を呈し、後者は前者の下層部に生成し、赤褐色を呈す。
copper oxide
5106 緑青
(ろくしょう)
銅及び銅合金表面に生じる青緑色の化合物のことで、水分、CO2ガス及びSO2ガスなどの作用によって生成された塩基性炭酸銅、塩基性硫酸銅などを主成分とする腐食生成物。
参考: 水に溶けず無害であり、また素地の保護被膜となる。
patina
5107 形材 全長にわたって断面が同形で、棒、線、管、板及び条とは異なる断面をもち、真っすぐな状態かコイル状で供給される展伸製品。 profile
5108 鍛造素材 鍛造用に適した例えば、棒又は他の断面をもつ熱間加工(2200参照)した中実の中間製品。
参考: 鍛造素材(5108参照)は、鍛造品(1260参照)であってもよい。
forging stock
5109 スラグ 展伸材(1200参照)から得られる小さな予備成形品。
参考1.スラグは、中心に孔のあるものかないもので供給される。鍛造品(1260参照)から得られてもよい。
参考2.鍛造、冷間押出しなど、後加工の材料となる。
slug
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2) 腐食
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
5200 ガルパニック腐食 異種の金属が電解質溶液を介して電気回路ができたとき、両者の腐食電位の違いのため、よりひ(卑)な電位の金属の腐食が促進される現象。 galvanic corrosion
5201 脱亜鉛腐食 銅−亜鉛系合金において、合金(5100参照)中の亜鉛だけが腐食溶出し、後に多孔質の銅と腐食生成物が残る現象、又は合金の両成分が溶解し、銅だけが再析出する現象。 dezincification corrosion
5202 孔食 金属内外部に生じた局部的な腐食がピット状に進行した現象。 pitting corrosion
5203 かい(潰)食 金属表面にできた酸化膜などが、流体の衝撃などによって継続的に破壊され、その部分が陽極となって比較的急速に進行する腐食現象。
参考: 配管のわん曲部、熱交換器管の入口部などで生じやすい。
impingement attack ;
erosion
5204 擦過腐食
(さっかふしょく)
近接した金属同志の表面が、微小振幅の振動などでお互いにこすられることが原因で起こる腐食現象。 fretting corrosion
5205 応力腐食割れ 材料が、ある値以上の引張応力とある種の腐食媒との共存下で、腐食によって誘導される割れ。 stress corrosion cracking
5206 時期割れ 製造過程で材料中に残留した引張応力によって起こる割れ。
参考: 応力腐食割れ(5205参照)の一種。
season cracking
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3) 管継手
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
5300 銅管継手 配管用銅管(1440参照)のはんだ付(2620参照)・ろう付(2621参照)用の銅及び銅合金製の接合部品(JIS H 3401)。
参考:
そのほかに社団法人日本銅センター規格(JCDA-1990 銅及び銅合金の管継手)、社団法人日本水道協会規格(JWWA H 102 水道用銅管継手)がある。
pipe fittings
5301 T
(ティー)
配管接合継手の形状で、3方向分岐のT形のもの。
参考: ティーズともいわれる。
tees
5302 エルボ 配管接合継手の形状で、L形のもの。 elbows
5303 だ円値 銅管継手(5300参照)の実測最大外径(内径)と実測最小外径(内径)との差。 ovality
5304 形式検査 銅管継手製品の品質が設計で示されたすべての品質項目を満足するかどうかを判定するための検査。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3401(銅及び銅合金の管継手)に適用されている。
type inspection
5305 受渡検査 銅管継手(5300参照)の形式検査(5304参照)に合格したものと同じ設計・製造にかかわる製品の受渡しに際して、必要と認められる品質項目が満足するものであるかどうかを判定するための検査。
参考: 伸銅品(1201参照)のJISでは、JID H 3401 に適用されている。
delivery inspection
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4) 非精製銅・精製銅
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
5400 銅マット、
銅かわ(ハ)
主として硫化鉄と硫化銅かたなる中間製品で、転炉で酸化してブリスター(5402参照)と呼ぶ金属銅にするもの。 copper matte
5401 ブラックカパー 通常、溶鉱炉で不純物の多い銅スクラップや酸化鉱を原料として、産出する不純物を多量に含有する銅。
参考: 銅含有量は多きく変動し、普通約60〜80%の範囲にある。
black copper
5402 ブリスター、
粗銅
管溶融銅マット(5400参照)に空気を吹き込み、産出する不純物を多量に含有する銅。
参考:
転炉工程で硫黄、鉄、その他不純物(5102参照)を酸化除去したもので、銅含有率は、普通約98%である。
bristar copper
5403 沈殿銅 銅化合物の水溶液から、通常、鉄で置換析出させた不純物を多量に含み、微細な形状の金属銅と酸化銅の混合物。
参考: 銅含有量は、乾燥状態で大きく変化し、普通約50〜85%の範囲にある。
cement copper
5404 精製銅 銅含有量 99.85%以上の金属か、銅含有量 97.5%以上の金属で、次に規定する限度(%)を超えない他の元素を含有して供給されるもの。
Ag≦0.25、 As≦0.5、 Cd≦1.3、 Cr≦1.4、 Mg≦0.8、 Pb≦1.5、 S≦0.7、 Sn≦0.8、 Te≦0.8、 Zn≦1.0、 Zr≦0.3、 その他合計≦0.3
refined copper
5405
脱酸銅 りん、リチウム、ほう酸、若しくはカルシウムのような金属又は非金属の脱酸剤を限られた量含み、酸化銅(T)(5105参照)を含まない銅。
参考: りん脱酸銅(1103参照)が最もよく使われる。
deoxidized copper
5406 化学的精製 電気分解以外の方法で水溶液から銅を得る方法。 chemical refining
5407
電解精製 銅を可溶性陽極として使い電気分解によって銅の純度を高める方法。 electolytic refining
5408 電解採取 非可溶性陽極を使い銅を含む電解質液から電着させて銅を採取する方法。 electro-winning
5409 乾式精製 溶融状態で酸化し、続いて還元して銅を造る方法。 fire refining
5410 さお銅、
ワイヤバー
電線製造用にまくら木形に鋳造された地金(2100参照)。
参考:
圧延して引抜き素線か平板状にし、次に線、条、形材(5107参照)を製造するために普通使われる。
wire bar
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5) 鋳物
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
5500 鋳物 溶融金属又は合金(5100参照)を鋳型の中で凝固して造り、仕上がりの形に近い製品の一般用語。 casting
5501 砂型鋳物 砂の鋳型の中で造られた鋳物(5500参照)。 sand casting
5502 金型鋳物
チル鋳物
重力又は低圧力を用いて、溶融金属を金型の中に注湯して造られる鋳物(5500参照)。 permanent mould casting ;
chill casting
5503 ダイカスト
ダイカスト鋳物
高圧力を用いて、溶融金属を金型の中に注湯して造られる鋳物(5500参照)。 pressure die casting ;
die casting
5504 遠心鋳造鋳物 鋳物(5500参照)の主軸と回転軸が一致している回転鋳型の中で、遠心力によって造られる鋳物。
参考: 鋳物の厚さは、鋳型の寸法と注がれる金属の量によって決まる。
centrifugal casting
5505 連続鋳造鋳物 鋳型の中に連続的に金属を供給して造られる鋳物(5500参照)。
参考:
凝固しながら鋳型の他端部から鋳物は引き出されるが、長さは鋳型の寸法と無関係である。
continuous casting
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6) その他
番号 用語 定義 対応英語
(参考)
5600 IACS 電気抵抗(又は電気伝導度)の基準として、国際的に採択された焼鈍標準軟銅。
参考:
その体積抵抗率(3201参照)は、 1.7241×10-2μΩm(導電率100%IACS)と規定されている。
international annealed copper standard
5601 コイル単重 条の一巻きの質量。 coil weight
5602 ミリ幅単重(ミリ単重) 条製品において、コイル単重をコイル幅で除した1mm幅当たりの質量。
参考: 単位は [kg/mm]で表す。
coil weight per 1mm width
5603 質別(1 伸銅品(1201参照)に特定の物理的又は機械的性質を付与するために、必要な処理を施した材料の状態。
参考:
処理には、熱処理によるものと、冷間加工(2300参照)によるものとがある。現行JISに規定している質別記号及び概念を次に示す。
F 製造のままのもの。機械的性質の制限はしない
(FはFabricationの略)。
0 完全に再結晶したもの又は焼きなまししたもの。引張強さの値が最も低い(Zero-0)。
0L 焼なまししたもの又は軽い加工を施したもの。引張強さは0と同じ[Zero(0)-Lightの略]。
1/8H 引張強さが質別 0 と 1/4H の中間のように加工硬化したもの(HはHardの略)。
1/4H 引張強さが質別 1/8H と 1/2H の中間のように加工硬化したもの。
1/2H 引張強さが質別 1/4H と 3/4H の中間のように加工硬化したもの。
3/4H 引張強さが質別 1/2H と H の中間のように加工硬化したもの。
H 引張強さが質別 3/4H と EH の中間のように加工硬化したもの。
EH 引張強さが質別 H と SH の中間のように加工硬化したもの(EHは Extra Hard の略)。
SH 引張強さが最大になるように加工硬化したもの(SHは Spring Hard の略)。
SR ひずみ取りのための熱処理を行ったもの(SRは Stress Release の略)。
temper



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