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資料館(鋼材・材料) >> 3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など

冷間圧延鋼板及び鋼帯(SPCC、SPCD、SPCE、SPCF、SPCG)
引用元 : JIS G 3141:2005 冷間圧延鋼板及び鋼帯


  • JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯 − Cold-reduced carbon steel sheets and strips

JIS規格に規定される、冷間圧延鋼板及び
鋼帯(SPCC、SPCD、SPCE、SPCF、SPCG)
関して、JIS規格(日本工業規格)において、
上記のJIS規格から引用・抜粋した資料です。

ご利用に際しては、こちらのご注意もご
確認ください。

JIS規格関連ではこちらもご参考にどうぞ。
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冷間圧延鋼板及び鋼帯(SPCC、SPCD、SPCE、SPCF、SPCG)

1.適用範囲

この規格は、冷間圧延鋼板及び鋼帯(以下、鋼板及び鋼帯という。)について規定し、鋼板及び鋼帯には、みがき帯鋼(幅500mm未満で冷間圧延する鋼帯)及びみがき帯鋼からせん断した鋼板を含む。

備考: この規格の対応国際規格を、次に示す。なお、対応の程度を表す記号は、ISO/ITEC Guide21 に基づき、IDT(一致している)、MOD(修正している)、NEQ(同等でない)とする。
ISO 3574:1999 Cold-reduced carbon steel of commercial and drawing qualities(MOD)



2.引用規格

付表1 に示す規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。

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3.種類及び記号

冷間圧延鋼板及び鋼帯の種類は、5種類とし、その記号は、表1 によるものとし、更に、調質区分及び表面仕上げ区分を設け、それぞれ 表2 及び 表3 による。

表1 種類の記号
種類の記号 摘要
SPCC 一般用
SPCD 絞り用
SPCE 深絞り用
SPCF 非時効性深絞り用
SPCG 非時効性超深絞り用
備考1. SPCCの標準調質及び焼なましのままの鋼板及び鋼帯は、注文者の指定によって引張強さ及び伸びを保証する場合、種類の記号の末尾にTを付けて SPCCT とする。
備考2.SPCG は、通常IF鋼で製造する。なお、IF鋼とは、固溶するC及びNが極力少なくなる方法で製造した鋼をいう。

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表2 調質区分
調質区分 調質記号
焼なましのまま A
標準調質 S
1/8硬質 8
1/4硬質 4
1/2硬質 2
硬質 1

表3 表面仕上げ区分
表面仕上げ区分 表面仕上げ記号 摘要
ダル仕上げ D 物理的又は化学的に表面を粗くしたロールでつや消し仕上げしたもの
ブライト仕上げ B 滑らかに仕上げたロールで平滑仕上げしたもの
備考 焼なましのままの鋼板及び鋼帯には、表3 の規定は、適用しない。
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4.化学成分

冷間圧延鋼板及び鋼帯は、13.1 によって試験を行い、その溶鋼分析値は、表4 による。だだし 表4 の規定は、焼なましのまま又は標準調質の鋼板及び鋼帯だけに適用する。

表4 化学成分 (単位:%)
種類の記号 C Mn P S
SPCC 0.15以下 0.60以下 0.100以下 0.050以下
SPCD 0.12以下 0.50以下 0.040以下 0.040以下
SPCE 0.10以下 0.45以下 0.030以下 0.030以下
SPCF 0.08以下 0.45以下 0.030以下 0.030以下
SPCG(1 0.02以下 0.25以下 0.020以下 0.020以下
注(1) 受渡当事者間の協定によって、Mn、P又はSの上限値を変えてもよい。
備考 必要に応じて 表4 以外の合金元素を添加してもよい。

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5.機械的性質
5.1 降伏点又は耐力、引張強さ及び伸び
標準調質及び焼なましのままの鋼板及び鋼帯は、13.2 によって試験を行い、その降伏点又は耐力、引張強さ及び伸びは、表5 による。
表5 降伏点又は耐力、引張強さ及び伸び
種類
の記号
降伏点
又は
耐力
N/mm2
引張
強さ
N/mm2
伸び % 引張
試験片
呼び厚さによる
区分 mm
呼び厚さによる区分 mm
0.25以上 0.25以上 0.25以上
0.30未満
0.30以上
0.40未満
0.40以上
0.60未満
0.60以上
1.0未満
1.0以上
1.6未満
1.6以上
2.5未満
2.5以上
SPCC - - - - - - - - - 5号
試験片
圧延
方向
3
SPCCT
2
- 270以上 28以上 31以上 34以上 36以上 37以上 38以上 39以上
SPCD (240以下) 270以上 30以上 33以上 36以上 38以上 39以上 40以上 41以上
SPCE (220以下) 270以上 32以上 35以上 38以上 40以上 41以上 42以上 43以上
SPCF (210以下) 270以上 - - 40以上 42以上 43以上 44以上 45以上
SPCG (190以下) 270以上 - - 42以上 44以上 45以上 46以上 -
注(2) SPCCのうち、引張強さ及び伸びを保証するもの。
注(3) 5号試験片が採取できない場合、試験片形状及び伸びは、受渡当事者間の協定による。
備考1. 厚さ0.60mm未満については、通常、引張試験を省略する。
備考2. 標準調質でブライト仕上げを行った鋼板及び鋼帯に対しては、表5の伸びの規定は、適用しない。
備考3. SPCF 及び SPCG は、製造工場出荷後6ヶ月間、非時効性を保証する。
備考4. 降伏点又は耐力の括弧を付した上限値は、参考値であり、受渡当事者間の協定によって適用してもよい。
備考5. 1N/mm2 = 1MPa


5.2 平均塑性ひずみ比
SPCGの鋼板及び鋼帯は、13.2 によって試験を行い、その平均塑性ひずみ比 r は、表6 による。
表6 平均塑性ひずみ比 r
種類の記号 呼び厚さによる区分 mm
0.50未満 050以上1.0以下 1.0を超え1.6以下 1.6を超え
SPCG - 1.4以上 1.3以上 -
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5.3 硬さ
1/8硬質、1/4硬質、1/2硬質及び硬質(以下硬質材という。)の鋼板及び鋼帯は、13.2 によって試験を行い、その硬さは、表7 又は 表8 のいずれかによる。
ただし、厚さが薄くHRBで硬さを測定できない場合には、HR30T、HR15T 又は HV によって硬さを測定し、表9 〜11 の換算表によってHRBに換算してもよい。HRBと最小適用厚さの例を参考表2 に示す。
なお、硬さ換算表にない硬さ値は、内挿法によって換算する。
備考: JIS Z 2245 では、”試料の厚さは、試料の裏面に試験の影響が認められない厚さとする。”としており、球圧子を使用するときの試料の最小厚さ算出式を参考として参考表1 のとおり記載している。
参考表1 試料の最小厚さ算出式
圧子 ロックウェル硬さ ロックウェルスーパーフィシャル硬さ
球圧子 1.5h 又は 0.03(130-H) 15h 又は 0.015(100-H)
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ここに、
h : くぼみの永久変形量(mm)
H : 硬さ値


表7 硬質材のロックウェル硬さ(HRB)
調質区分 調質記号 HRB
1/8硬質 8 50〜71
1/4硬質 4 65〜80
1/2硬質 2 74〜89
硬質 1 85以上

表8 硬質材のビッカース硬さ(HRB)
調質区分 調質記号 HV
1/8硬質 8 95〜130
1/4硬質 4 115〜150
1/2硬質 2 135〜185
硬質 1 170以上

参考表2 HRBと最小適用厚さの例
HRB硬さ値 50 65 74 85
最小適用厚さ(mm) 2.40 1.95 1.68 1.35
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表9 HR30T から HRB への硬さ換算表
HR30T 換算 HRB HR30T 換算 HRB HR30T 換算 HRB HR30T 換算 HRB
35.0 28.1 47.0 46.0 59.0 63.9 71.0 81.9
36.0 29.6 48.0 47.5 60.0 65.4 72.0 83.4
37.0 31.1 49.0 49.0 61.0 66.9 73.0 84.9
38.0 32.5 50.0 50.5 62.0 68.4 74.0 86.4
39.0 34.0 51.0 52.0 63.0 69.9 75.0 87.9
40.0 35.5 52.0 53.5 64.0 71.4 76.0 89.4
41.0 37.0 53.0 55.0 65.0 72.9 77.0 90.8
42.0 38.5 54.0 56.5 66.0 74.4 78.0 92.3
43.0 40.0 55.0 58.0 67.0 75.9 79.0 93.8
44.0 41.5 56.0 59.5 68.0 77.4 80.0 95.3
45.0 43.0 57.0 60.9 69.0 78.9 81.0 96.8
46.0 44.5 58.0 62.4 70.0 80.4 82.0 98.3
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備考: 表9の換算表は、ASTM E140 表2 による。ただし ASTM の表にない硬さは内挿法によった。

表10 HR15T から HRB への硬さ換算表
HR15T 換算 HRB HR15T 換算 HRB HR15T 換算 HRB HR15T 換算 HRB
70.0 28.8 76.0 47.3 82.0 65.8 88.0 84.3
70.5 30.3 76.5 48.8 82.5 67.3 88.5 85.8
71.0 31.9 77.0 50.4 83.0 68.8 89.0 87.3
71.5 33.4 77.5 51.9 83.5 70.4 89.5 88.9
72.0 35.0 78.0 53.4 84.0 71.9 90.0 90.4
72.5 36.5 78.5 55.0 84.5 73.5 90.5 92.0
73.0 38.0 79.0 56.5 85.0 75.0 91.0 93.5
73.5 39.6 79.5 58.1 85.5 76.6 91.5 95.0
74.0 41.1 80.0 59.6 86.0 78.1 92.0 96.6
74.5 42.7 80.5 61.1 86.5 79.6 92.5 98.1
75.0 44.2 81.0 62.7 87.0 81.2 93.0 99.7
75.5 45.7 81.5 64.2 87.5 82.7
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備考: 表10の換算表は、ASTM E140 表2 による。ただし ASTM の表にない硬さは内挿法によった。

表11 HV から HRB への硬さ換算表
HV 換算 HRB HV 換算 HRB HV 換算 HRB HV 換算 HRB
85 41.0 115 65.0 145 76.6 175 86.1
90 48.0 120 66.7 150 78.7 180 87.1
95 52.0 125 69.5 155 79.9 185 88.8
100 56.2 130 71.2 160 81.7 190 89.5
105 59.4 135 73.2 165 83.1 195 90.7
110 62.3 140 75.0 170 85.0 200 91.5
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備考: 表11の換算表は、SAE J417 表1 による。ただし SAE の表にない硬さは内挿法によった。

5.4 曲げ性
硬質材の鋼板及び鋼帯並びに SPCC は、表12 の曲げ試験条件によって 13.2 の試験を行い、試験片の外側にき裂を生じてはならない。ただし、曲げ試験の実施は、注文者の要求がない場合には、省略してもよい。
表12 曲げ性
調質区分 調質記号 曲げ試験
曲げ角度 内側半径 曲げ試験片
焼なましのまま A 180° 密着 -
標準硬質 S 180° 密着
1/8硬質 8 180° 密着
1/4硬質 4 180° 厚さの0.5倍
1/2硬質 2 180° 厚さの1.0倍
硬質 1 - -
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6.寸法の表し方

冷間圧延鋼板及び鋼帯の寸法の表し方は、次による。
  1. 鋼板の寸法は、厚さ、幅及び長さをミリメートルで表す。
  2. 鋼帯の寸法は、厚さ及び幅をミリメートルで表す。


7.標準寸法

幅500mm以上で冷間圧延する鋼板及び鋼帯の標準厚さは、表13 による。

表13 標準寸法 (単位:mm)
標準厚さ 0.4、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、 0.9、 1.0、 1.2、 1.4、
1.6、 1.8、 2.0、 2.3、 2.5、 (2.6)、 2.8、 (2.9)、 3.2
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備考: 括弧以外の標準厚さの適用が望ましい。


8.寸法の許容差

8.1 寸法の測定箇所
冷間圧延鋼板及び鋼帯の寸法の測定箇所は、次による。
  1. 厚さを測定する箇所は、鋼帯の正常な部分及び鋼板の両耳から15mm以上内側の任意の点とする。ただし、幅30mm未満の場合は、幅の中央部とする。
  2. 幅を測定する箇所は、鋼帯の正常な部分及び鋼板の任意の箇所とする。
  3. 長さを測定する箇所は、鋼板の任意の箇所とする。

8.2 厚さ許容差
冷間圧延鋼板及び鋼帯の厚さ許容差は、次による。
  1. 厚さ許容差は、呼び厚さに適用する。
  2. 厚さ許容差は、A及びBに区分し、それぞれ 表14 及び 表15 による。通常、厚さ許容差は、Aを適用する。ただし、受渡当事者間の協定によってBを適用してもよい。
表14 厚さ許容差 A (単位:mm)
呼び厚さによる区分 呼び幅による区分
630未満 630以上
1000未満
1000以上
1250未満
1250以上
1600未満
1600以上
0.25未満 ±0.03 ±0.03 ±0.03 - -
0.25以上 0.40未満 ±0.04 ±0.04 ±0.04 - -
0.40以上 0.60未満 ±0.05 ±0.05 ±0.05 ±0.06 -
0.60以上 0.80未満 ±0.06 ±0.06 ±0.06 ±0.06 ±0.07
0.80以上 1.00未満 ±0.06 ±0.06 ±0.07 ±0.08 ±0.09
1.00以上 1.25未満 ±0.07 ±0.07 ±0.08 ±0.09 ±0.11
1.25以上 1.60未満 ±0.08 ±0.09 ±0.10 ±0.11 ±0.13
1.60以上 2.00未満 ±0.10 ±0.11 ±0.12 ±0.13 ±0.15
2.00以上 2.50未満 ±0.12 ±0.13 ±0.14 ±0.15 ±0.17
2.50以上 3.15未満 ±0.14 ±0.15 ±0.16 ±0.17 ±0.20
3.15以上 ±0.16 ±0.17 ±0.19 ±0.20 -
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表15 厚さ許容差 B (単位:mm)
呼び厚さによる区分 呼び幅による区分
160未満 160以上
250未満
250以上
400未満
400以上
630未満
0.10未満 ±0.010 ±0.020 - -
0.10以上 0.16未満 ±0.015 ±0.020 - -
0.16以上 0.25未満 ±0.020 ±0.025 ±0.030 ±0.030
0.25以上 0.40未満 ±0.025 ±0.030 ±0.035 ±0.035
0.40以上 0.60未満 ±0.035 ±0.040 ±0.040 ±0.040
0.60以上 0.80未満 ±0.040 ±0.045 ±0.045 ±0.045
0.80以上 1.00未満 ±0.04 ±0.05 ±0.05 ±0.05
1.00以上 1.25未満 ±0.05 ±0.05 ±0.05 ±0.06
1.25以上 1.60未満 ±0.05 ±0.06 ±0.06 ±0.06
1.60以上 2.00未満 ±0.06 ±0.07 ±0.08 ±0.08
2.00以上 2.50未満 ±0.07 ±0.08 ±0.08 ±0.09
2.50以上 3.15未満 ±0.08 ±0.09 ±0.09 ±0.10
3.15以上 ±0.09 ±0.10 ±0.10 ±0.11
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8.3 幅許容差
冷間圧延鋼板及び鋼帯の幅許容差は、次による。
  1. 幅許容差は、呼び幅に適用する。
  2. 幅許容差は、A、B及びCに区分し、それぞれ 表16、表17 及び 表18 による。ただし 表16 は、普通の切断方法によったものに、表17 は、再切断又は精密切断を行ったものに、表18 は、スリットを行ったものにそれぞれ適用する。
表16 幅許容差 A (単位:mm)
呼び幅による区分
1250未満 1250以上
+7
0
+10
0
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備考: ストレッチャレベラ仕上げ鋼板は、プラス側は規定しない。

表17 幅許容差 B (単位:mm)
呼び幅による区分
1250未満 1250以上
+3
0
+4
0

表18 幅許容差 C (単位:mm)
呼び厚さによる区分 呼び幅による区分
160未満 160以上
250未満
250以上
400未満
400以上
630未満
0.60未満 ±0.15 ±0.20 ±0.25 ±0.30
0.60以上 1.00未満 ±0.20 ±0.25 ±0.25 ±0.30
1.00以上 1.60未満 ±0.20 ±0.30 ±0.30 ±0.40
1.60以上 2.50未満 ±0.25 ±0.35 ±0.40 ±0.50
2.50以上 4.00未満 ±0.30 ±0.40 ±0.45 ±0.50
4.00以上 5.00未満 ±0.40 ±0.50 ±0.55 ±0.65
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8.4 長さ許容差
冷間圧延鋼板及び鋼帯の長さ許容差は、次による。
  1. 長さ許容差は、鋼板の呼び長さに適用する。
  2. 長さ許容差は、A及びBに区分し、それぞれ 表19 及び 表20 による。ただし 表19 は、普通の切断方法によったものに、表20 は、再切断又は精密切断を行ったものにそれぞれ適用する。
表19 長さ許容差 A (単位:mm)
呼び長さによる区分 許容差
2000未満 +10
0
2000以上 4000未満 +15
0
4000以上 6000未満 +20
0
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備考: ストレッチャレベラ仕上げ鋼板は、プラス側は規定しない。

表20 長さ許容差 B (単位:mm)
呼び長さによる区分 許容差
1000未満 +3
0
1000以上 2000未満 +4
0
2000以上 3000未満 +6
0
3000以上 4000未満 +8
0


9.形状
9.1 平たん度
平たん度は、A及びBに区分し、それぞれ 表21 及び 表22 による。ただし、表22 は、通常、ストレッチャレベラ仕上鋼板に適用する。平たん度は、幅500mm以上で冷間圧延する標準調質の鋼板だけに適用する。
備考1. 平たん度は、鋼板を定盤上に置いて測定し、その値は、ひずみの最大値から鋼板の呼び厚さを引いたもので、鋼板の上側の面に適用する。定盤は、平たん度を測定するのに十分な長さのあるものを用いる。
備考2. ひずみの種類は、その形状及び発生部位によって次のとおりとする。
・反り : 鋼板全体がわん曲したもの。圧延方向にわん曲した反り及び圧延方向に直角にわん曲した反りがある。
・波 : 鋼板の圧延方向に波打ったような状態。
・耳のび : 鋼板のエッジ(幅方向端部)に波が現れ、中央部は平たんであるもの。
・中のび : 鋼板の中央部に波が現れ、鋼板のエッジは平たんであるもの。
表21 平たん度 A の最大値(単位:mm)
呼び幅による区分 ひずみの種類
反り、波 耳のび 中のび
1000未満 12 8 6
1000以上 1250未満 15 9 8
1250以上 1600未満 15 11 8
1600以上 20 13 9

表22 平たん度 B の最大値(単位:mm)
呼び幅による区分 ひずみの種類
反り、波 耳のび 中のび
1000未満 2 2 2
1000以上 1250未満 3 2 2
1250以上 1600未満 4 3 2
1600以上 5 4 2
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9.2 横曲がり
冷間圧延鋼板及び鋼帯の横曲がりの適用は、図1 による。鋼板及び鋼帯の横曲がりの最大値は、A及びBに区分し、それぞれ 表23 及び 表24 による。ただし、表24 は、受渡当事者間の協定によって適用する。なお、横曲がりは、鋼帯の正常でない部分には適用しない。また横曲がりの測定は、注文者の要求のある場合にだけ行う。
図1 鋼板及び鋼帯の横まがりの適用
図1 鋼板及び鋼帯の横まがりの適用

表23 横曲がり A の最大値(単位:mm)
呼び幅による区分 鋼板、鋼帯の区分
鋼板 鋼帯
長さ2000未満 長さ2000以上
30以上 40未満 8 任意の長さ2000につき 8
40以上 630未満 4 任意の長さ2000につき 4
630以上 2 任意の長さ2000につき 2

表24 横曲がり B の最大値(単位:mm)
呼び幅による区分 鋼板、鋼帯の区分
鋼板 鋼帯
長さ2000未満 長さ2000以上
30以上 40未満 25 任意の長さ2000につき 25
40以上 630未満 10 任意の長さ2000につき 10
630以上 2 任意の長さ2000につき 2
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9.3 直角度
鋼板の直角度のずれは、1隅点において、一辺に垂線を立てたとき、図2 に示すように反対の隅点との距離(A)と幅(B)との比(A/B)で表し、この値は、1.0%を超えてはならない。
図2 鋼板の直角度
図2 鋼板の直角度


10.質量
10.1 鋼板の質量
鋼板の質量は、次による。
  1. 鋼板の質量は、キログラムで表す。通常、幅500mm以上で冷間圧延する鋼板は、計算質量とし、幅500mm未満で冷間圧延する鋼板は、実測質量とする。
  2. 鋼板の質量の計算方法は、表25 によるが、この場合の寸法は、呼び寸法を用いる。
  3. 幅500mm以上の鋼板1結束の標準質量は、2000kg、3000kg 及び 4000kg とする。
表25 質量の計算方法
計算順序 計算方法 計算結果の丸め方
基本質量 kg/mm・m2 7.85 (厚さ1mm、面積1m2 の質量) -
単位質量 kg/m2 基本質量(kg/mm・m2)×厚さ(mm) 有効数字4けたの数値に丸める
鋼板の面積 m2 幅(m)×長さ(m) 有効数字4けたの数値に丸める
1枚の質量 kg 単位質量(kg/m2)×面積(m2 有効数字3けたの数値に丸める
1結束の質量 kg 1枚の質量(kg)×同一寸法の1結束内の枚数 kgの整数値に丸める
総質量 kg 各結束質量の和 kgの整数値
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備考1. 総質量は、1枚の質量(kg)×総枚数として計算してもよい。
備考2. 数値の丸め方は、JIS Z 8401 の規則Aによる。


10.2 鋼帯の質量
鋼帯の質量は、次による。
1) 鋼帯の質量は、実測質量とし、キログラムで表す。
2) 鋼帯の質量は、協定によって、通常、最大質量を指定するものとし、その指定最大質量は、通常、次の値以上とする。
  1. 幅500mm以上の鋼帯 幅1mm当たり 3kg
  2. 幅500mm未満の鋼帯 幅1mm当たり 1kg


11.塗油

冷間圧延鋼板及び鋼帯は、特に指定のない限り塗油する。


12.外観

外観は、次による。
  1. 冷間圧延鋼板及び鋼帯は、孔、ラミネーション、その他用途に応じて実用上の有害な欠点があってはならない。ただし、孔、ラミネーション以外の欠点は、通常、鋼板及び鋼帯の片側の面(4)に適用する。なお、鋼帯は、一般に検査によって欠点を含む部分を除去する機会がないため、若干の正常でない部分又は、溶接部も含んでもよい。
  2. 焼なましのままの鋼板及び鋼帯は、調質圧延を行わないため、発生する腰折れ、耳しわなどは、有害な欠点としない。
  3. 無塗油の鋼板及び鋼帯は、塗油しないために発生するさび、すりきずなどは、有害な欠点としない。
注(4) 片側の面とは、通常、鋼板の場合は包装で上側にある面をいい、鋼帯の場合は鋼帯の外側の面をいう。

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13.試験

13.1 分析試験
13.1.1 分析試験の一般事項及び分析試料の採り方
冷間圧延鋼板及び鋼帯の化学成分は、溶綱分析によって求め、分析試験の一般事項及び分析試料の採り方は、JIS G 0404 の 8.(化学成分) による。
13.1.2 分析方法
分析方法は、JIS G 0320 による。

13.2 機械試験
13.2.1 機械試験の一般事項
機械試験の一般事項は、JIS G 0404 の 9.(機械的性質) による。ただし、供試材の採り方は、JIS G 0404 の 7.6(試験片採取条件及び試験片) のA類とし、試験片の数及び採取位置は、次による。
  1. 試験片の数 : 冷間圧延する際のコイル(以下、コイルという。)ごとにそれぞれ1個とする。なお、コイルの質量が3t未満の場合は、同一溶鋼、同一厚さ、同一圧延条件及び同一熱処理条件ごとに1個とする。
  2. 試験片の採取位置 : 試験片の中心は、幅方向1/4の位置とする。ただし、この位置からとれない場合には、これに近い位置とすることが望ましい。引張試験片及び曲げ試験片は、圧延方向に採取する。
13.2.2 試験片及び試験方法
試験片及び試験方法は、次による。
1) 引張試験 : 引張試験は次による。
  1. 試験片は、JIS Z 2201 の5号試験片を用いる。5号試験片を採取できない場合は、受渡当事者間の協定による。
  2. 試験方法は、JIS Z 2241 による。
2) 塑性ひずみ比試験 : 試験片及び試験方法は、JIS Z 2254 による。
3) 硬さ試験 : 試料及び試験方法は、JIS Z 2244 又は JIS Z 2245 による。
4) 曲げ試験 : 曲げ試験は次による。
  1. 試験片は、JIS Z 2204 の3号試験片を用いる。
  2. 試験方法は、JIS Z 2248 による。

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14.検査
14.1 検査
検査は、次による。
  1. 検査の一般事項は、JIS G 0404 による。
  2. 化学成分は、4.に適合しなければならない。
  3. 機械的性質は、5.に適合しなければならない。
  4. 寸法の許容差は、8.に適合しなければならない。
  5. 形状は、9.に適合しなければならない。
  6. 質量は、10.に適合しなければならない。
  7. 外観は、12.に適合しなければならない。

14.2 再検査
機械試験で不合格となる鋼板及び鋼帯は、JIS G 0404 の 9.8(再試験)によって再試験を行い、合否を決定してもよい。


15.包装及び表示

検査に合格した鋼板及び鋼帯は、通常、包装し、次の項目を JIS G 0404 の 14.(表示) による適切な方法で表示する。ただし、受渡当事者間の協定によって、その一部を省略してもよい。
  1. 種類の記号
  2. 調質記号
  3. 表面仕上げ記号
  4. 製造番号又は検査番号
  5. 寸法
  6. 枚数又は質量(幅500mm未満で冷間圧延する鋼帯及び鋼板は、省略してもよい。)
  7. 製造業者名又はその略称
備考: 種類の記号、調質記号及び表面仕上げ記号の表示例
種類の記号、調質記号及び表面仕上げ記号の表示例

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16.報告

報告は、JIS G 0404 の 13.(報告) による。あらかじめ注文者の要求のある場合には、製造業者は、JIS G 0415 によって試験の成績、製造方法、注文寸法、数量、製造の履歴の分かるものなどを記載した検査文書を注文者に提出しなければならない。検査文書の種類は、特に指定のない場合は、JIS G 0415 の 表1(検査文書の総括表) の記号 2.3(受渡試験報告書) 又は記号 3.1.B(検査証明書 3.1.B) とする。


【付表1 引用規格】
  • JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
  • JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
  • JIS G 0415 鋼及び鋼製品 - 検査文書
  • JIS Z 2201 金属材料引張試験片
  • JIS Z 2204 金属材料曲げ試験片
  • JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
  • JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験 - 試験方法
  • JIS Z 2245 ロックウェル硬さ張試験方法
  • JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法
  • JIS Z 2254 薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法
  • JIS Z 8401 数値の丸め方




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